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宗吾霊堂御待夜祭のご紹介です。
このお祭りは、毎年9月の第1土、日曜日に開催されます。
奇しくも、今年の9月の第1土、日曜日は1日、2日です。
まさに、このお祭りが9月の始まりを告げることになります。
正式名は”鳴鐘山東勝寺”ですが、なぜ”宗吾霊堂”と呼ばれるようになったのでしょうか?それは、この地に眠る「佐倉の義民(正義の味方!)」が関係しています。その名は“木内惣五郎”です。
江戸時代に地元(佐倉藩)で高い年貢などで苦しんでいた農民のために、ときの将軍 徳川家綱公へ直訴しました。その直訴で、重税は見直されたのですが、当時将軍への直訴は禁じられており、“木内惣五郎”は処刑されてしまいました。
佐倉藩はその失政を悔い、高徳の人として“宗吾道閑居士”と名を与え、その後義民・佐倉宗吾様が祀られているお寺として“宗吾霊堂”と広く知られるようになりました。
“佐倉宗吾様”のお通夜に当たる2日、人々は宗吾霊堂に「おこもり」をして夜を明かしたのが「宗吾霊堂御待夜祭」の始まりと言われております。
(境内にある惣五郎父子の墓。地元の皆様はその前で合葬されております)
以来、地元では「佐倉惣五郎」さんを、あがめ、まつって来ました。
つまり、このお祭りは、由緒あるお祭りなのです。
最終日の昼と夜の計2回、山車(だし)の曳き廻しがあります。
この山車(だし)を地元では「屋台」と呼んでいるようです。
でも、どう見ても山車ですよね。(不思議です)
山車の重量は約3トンです。
それに27~8人の大人が乗りますので、総重量は4トンを超えます。
山車は本堂前をスタートして、地元をぐるっと回ってきます。
曳き廻しは昼と夜の2回ありますが(前述)、お奨めは夜の部です。
暗い中に提灯の灯りが浮き上がって、とってもきれいです。
というか、幻想的であり、神秘的でもあります。
ドンチャン、ドンチャンとお囃子がなって、屋台の周りでは踊り子たち(男子も)きれいな舞を見せてくれます。
これを見せられた日には、見てる方だって浮かれますよ。
御待夜祭は、2日のうちどちらかが雨になる事が多いようです。
(時には雷雨になったこともあったようです)
せっかくのお祭りなのに…と思いきや、地元の皆さまは口を揃えていいます。
「この雨は“惣五郎様の嬉し涙”だ」、「きっと喜んでいるんだろうねぇ」
こんなところにも、「佐倉惣五郎」への畏敬の念や、お御待夜祭りへの心意気が伝わってきます。素敵です。
山車の曳き廻しの途中で「振る舞い」があります。
町内会から曳き手の皆さまに、そうめん、スイカ、ハンバーガー、そして飲み物などが配られます。その後、お菓子が山車の上からまかれます。
これが楽しみで、山車に付いて回る人もいるようです。
この山車のゴールが、お祭りの最後となります。
境内には300店以上の露店が立ち並びます。
この露店風景は、まさに「昭和」です。
よく見ると、露店にもいろいろとあるのですね。
古い時代を感じさせるのもあれば、現代っぽいものもあります。
そんなのどうでも良いことですよね。
この空間に入ると、何故か新鮮な気持ちになります。
年配者は子供時代を思い出し、子供や若者達は初めての光景に目を丸くします。
老若男女が浮き浮きすることが少なくなった今の世の中です。
露店やこんなお祭りは最高です。
綿菓子を買って、輪投げや射的に興じる。
とにかくみんなの目が輝いているのです。
いいなあ、こんな光景って。
普段は静かで穏やかな時間が流れる宗吾霊堂の境内ですが、
御待夜祭の2日間は境内には露店と人とでごった返しになります。
(通常の宗吾霊堂の境内の様子。猫ものんびりと毛づくろいをしております)
どこに、こんなに人がいたのかと思うぐらいです。
(実際には県外からの見物客も多いようですが)
でも人間って不思議ですよね。
都会の雑踏は絶対に避けても、お祭りの人混みは平気です。
というよりか、むしろ楽しんでいるぐらいです。
考えてみてください。
お祭りが閑散としていたら、それこそ、しらけますよ。
「やっぱり、お祭りは大勢の人がいなければ」ですよね。
しかし、この人、人、人は半端ではありません。
おっと、お祭りの主役の「佐倉惣五郎」さんを忘れるところでした。
でも、「佐倉惣五郎」さんも、こんなに多くの人に囲まれて、きっと喜んでいることでしょうね。
特設(仮設)舞台では、カラオケ大会や奉納舞踊があります。
また、公津の杜中学校では、奉納剣道大会が、
中台体育館では、奉納弓道大会が行われます。
いすれも毎年の恒例になっており、大勢の見物客が押し寄せて来ます。
特にカラオケ大会は、飛び入りもあって、やんやんやの喝采が大会が盛り上げます。中にはプロ顔負けの歌手もいて、楽しいこと請け合いです。
一方、ご本尊の厨子が開帳され、一般の人々もご本尊の中に入ることができます。
(このご開帳は、年1回ですので貴重です!)
また、このご本尊では、「大般若経六百巻転読特別大祈祷会」が行われ、大勢の僧侶たちが読経します。その読経のさまがまた圧巻です。僧侶の読経が境内全体に響き渡り、境内は、しばし荘厳な空間に包まれます。大勢の僧侶が経典をパラパラとめくるときに起きる風(これを「梵風(ぼんふう)」といいます)にあたると、経典の文字が風となって人々に行きわたり、行徳が得られ、厄払いができるといわれています。大変縁起の良い大祈祷会ですので、是非参加してみてください。
内容 | 時間 | 場所 |
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大護摩修行 | 11時・14時・18時 | 宗吾霊堂 大本堂 |
屋台運行 | 13時~17時(子供連) 18時~22時(大人連) |
宗吾区内巡行 |
特別奉納舞踊大会 | 15時~22時 | 仮設舞台 |
内容 | 時間 | 場所 |
---|---|---|
大護摩修行 | 6時・11時・14時 11時の法要は、ご開帳並びに大般若経六百巻転読会の特別法要となります。 |
宗吾霊堂 大本堂 |
屋台運行 | 13時~17時(子供連) 18時~22時(大人連) |
宗吾区内巡行 |
カラオケ大会(予選) | 13時~17時 | 仮設舞台 |
カラオケ大会(決勝)・表彰式 | 19時~22時 | 仮設舞台 |
9月の第1土曜日、日曜日に開催されるお祭り、「宗吾霊堂御待夜祭」を紹介しました。
佐倉の義民“木内惣五郎”の命日(9月3日)にちなんで開催される伝統あるお祭りです。
この義民“木内惣五郎”の歴史を知れば、このお祭りへの興味が更にわいてくると思います
300店以上立ち並ぶ露店も圧巻ですが、おすすめは、やっぱり山車(動く屋台)ではないでしょうか。降ってくる雨にも、ものともせず曳き廻すさまは、地元民の熱い心意気と根強い優しさを感じてしまいます。皆さんも「宗吾霊堂御待夜祭」に出かけて、温かい気持ちになってみてはいかがでしょうか?