全国有数のお寺である成田山新勝寺の境内には、出世稲荷があるのをご存知ですか。
えっ?お寺なのに神社?……と、お思いの方もいるでしょうが、あるんです。
お正月には長い列ができるほど大勢の人が訪れる、人気のパワースポットなんですよ。
そこで今回は成田山の出世稲荷で体験できる、商売繁盛・開運成就の祈願についてご紹介していきたいと思います。
成田山の出世稲荷にまつられているのは、荼枳尼天(だきにてん)というインド由来の仏教の女神です。荼枳尼天はサンスクリット語の「ダーキニー」で、元々は人の心臓を食す恐ろしい神でした。しかし仏教界で大日如来の霊力に心服し善神になったと言われ、白狐にまたがる天女の姿をしています。
御真言は「ノーマク サンマンダ ボダナン キリカク ソワカ」。
御本尊は江戸時代に成田山を篤く信仰した佐倉藩主・稲葉丹後守(いなばたんごのかみ)より寄進されました。商売繁盛・開運成就・火伏せのご利益があると伝えられていて、古くから出世開運稲荷と呼ばれ親しまれているのです。
出世稲荷では毎年2月、二の午の日に大法会が奉修されています。お囃子や神楽の奉納や甘酒進上(無料)も行われますので、年に一度の祭礼の日に合わせて参詣してみるのもいいですね。御札や稲荷参道に献灯される提灯も申し込むことができます。
※日程等については、成田山新勝寺の公式ホームページでご確認いただけます。
<お申し込み・お問い合わせ> 出世開運稲荷祭礼係 0476-22-2111 |
成田山の境内を散策していると、大本堂に向かって左手、ちょうど釈迦堂の向かい側に出世稲荷参道の案内があります。弘恵会土屋駐車場に車を止めた場合は、トンネルを抜けてすぐの階段を上ると、この場所にたどり着くこができます。
よく見るとトンネル上部には「出卋開運繸動」と書かれているんです。
案内の脇にある緩やかに長く続く石段が、出世稲荷へと続く参道。上りきったところの右手に、成田山の出世稲荷はひっそりとたたずんでいます。
では、実際に成田山の出世稲荷参拝を体験してみましょう。まずは、出世稲荷へと続く長い石段を一歩一歩踏みしめて上ります。
上っていく途中、右側の石積み最上部には大関・名寄岩の名と手形が!昭和20年頃に活躍された北海道出身の力士さんですね。
写真ではわかりづらいですが、肉眼だと確認することができますので探してみてください。お相撲好きの方は、ここでちょっとした感動があるかも知れません。
さらに足を進め石段を上りきったところでは、ぜひいちど振り返ってみてください。その景色のすばらしさたるや。高台になっているこの場所は、成田山を一望できる絶景スポットでもあるんです。
出世稲荷の入口となる鳥居の手前には、2件の売店が軒を連ねています。こちらではお供え物の油揚げや蝋燭、陶器製の狐の置物を購入することができます。
油揚げはお狐様の好物ですからね。ぜひお供えしてご利益を得たいもの。また陶器製の狐の置物は、1体1体手書きでお顔が描かれているんです。並べて表情をよ~く見比べてみてください。どんなお顔に会えるのか、楽しみでもありますね。
お供え物を購入すると、売店のおばちゃんがカチカチカチと火打石を鳴らしてくれます。これだけでもう、何か運気があがりそうな予感…。
購入したお供えものは、しっかりと手に持ってください。落としてしまうと縁起が悪いのでご注意を。
鳥居のすぐそばには、出世稲荷の由来が書かれた案内があります。
とても読みやすい字で書かれていますので、目を通してから進みたいですね。
さぁ、鳥居をくぐり石段を上ってみましょう。
上りきったところの左側には八さんか代目團十郎、右側には七代目海老蔵と書かれた石灯籠が。子孫繁栄を願って、親子で奉納されたもののようです。
そしてまっすぐ顔をあげると、その先にはとても神秘的な世界が広がっています。
まず目にとまるのは、左右に何本も立てられた紅と白の旗。頭上の紫と相まって特別な雰囲気が醸し出されています。これらの旗は商売をされている信徒の方が、商売繁盛・出世開運を祈願して奉納されるそうです。
なんとお正月の元旦だけでも奉納される紅白旗の数は約600枚!とのこと。多くの人の拠り所となっているお稲荷さんであることがうかがえますね。
さらに歩を進めて行くと、奉納された大きな提灯も目にすることができます。
奉納品や独特の雰囲気に圧倒されながら歩いて行くと、荼枳尼天がまつられているお堂へとたどり着きます。
色鮮やかな朱色を基調に金・青・緑の色彩が美しくきらびやかな現在のお堂は、明治21(1888)年に再建されたもの。龍や獅子などの彫刻が施されています。
売店で購入したお供え物はお堂の前にお供えします。油揚げは袋のままで、その上には100円玉が置かれていました。蝋燭はお堂の脇でいったん灯明し、火を消してご自宅へ。持ち帰って仏壇などにあげることでご利益をいただくことができます。
そして気を付けなければならいのが参拝作法。お寺の境内にある神社なので「合掌一礼」。神社だからといって「二礼二拍手一礼」ではありませんので、ご注意ください。
間違える方が多いのか、参拝作法はお堂の前にも書かれていました。
お堂の手前には、社務所があります。
出世稲荷の御朱印は、こちらで頂くことができますよ。白狐が描かれた真っ赤な出世稲荷絵馬や、狐の顔をかたどった可愛い出世開運御守なども販売されています。
絵馬には名刺が貼られたものがたくさん奉納されていました。
名刺はお堂に置いて行かれる方もいるようでしたが、やはり絵馬に貼ったほうがご利益を得られるような気がしますね。出世稲荷参拝に名刺は必須アイテム!
お持ちの方はぜひご持参されて、出世を祈願してみてはいかがでしょう。
お堂の裏手には、御眷属(ごけんぞく)奉安所もありました。たくさんのお狐様たちが、安らかなお顔で奉安されています。
出世稲荷を参拝した後は、出口の先にある緩やかな階段を下ってみましょう。たくさんのお土産物屋や飲食店が立ち並ぶ奥山広場へとつながっています。
(撮影した日は時間が遅かったこともあり、あいにくどのお店もシャッターがおりていました。残念!)
どこか懐かしくゆったりとした雰囲気の中で、ちょっと休憩してみるのもいいですよ。
あたると有名な占いもありますので、お時間がある方はぜひ。(ただし、人気の占い師さんのところは行列ができている可能性があります)
いかがでしたか、長い階段を上った先にひっそりとたたずんでいる成田山の出世稲荷。
まつられているのは荼枳尼天(だきにてん)という仏教の女神様です。商売繁盛・開運成就・火伏せのご利益があると伝えらています。参拝作法は合掌一礼、お間違えなく。出世祈願をする際は名刺も忘れずにお持ちくださいね。強い力を持つ神様なので、成田山を訪れた際はぜひ出世稲荷も参拝してみてください。みなさまの所に荼枳尼天さまのお力が宿りますように…。