「まぐろ」は、「魚」に「有」ると書いて、鮪――。透明な赤い身のまぐろが並んだ食卓って、美味しさに加え色合いも相まってぱっと華やぎますよね。お寿司に漬け丼、カルパッチョ――。いっぽうで渋く煮つけなどにしても旨い。私たちの食生活に「有る」、そして「有って欲しい」魚だと思います。
「まぐろ専門店 マグロビストロWA‐FU(ワーフ)」さんは、まぐろの専門店だけあって、すべてのメニューがまぐろ・まぐろ・まぐろ。まぐろ尽くしなのに、バリエーションもたくさん! 趣向を凝らした創作まぐろ料理を堪能してみませんか。
京成本線・公津の杜駅から徒歩5分のところにある「WA‐FU」さん。まぐろのイラストが描かれたおしゃれなシェードをくぐると中に広がっているのは、ウッディーでくつろげる、おしゃれなカフェのようなぬくもりのある空間です。
そこかしこに置かれたまぐろモチーフの雑貨が、かわいらしく店内を演出。カウンター席とテーブル席があり、どちらもおしゃれで清潔です。
「築地に負けない新鮮まぐろランチ」のポスターには、「赤身3種のミルフィーユ」「栄養価№1頂上決戦」なるまぐろ料理の写真が。「まぐろのユッケ」はWA‐FUさん自慢の一品です。
「うわさのポキ丼はじめました」とのポスターが目に留まります。「ポキ丼」とは、まぐろとアボカドを使ったハワイのローカルフードだそう。新しいまぐろ料理の世界を知りました。
コース料理の案内。シェフおまかせコース2.500円なり。「WA‐FU」さんのシェフさんになら1から10まで、まるっとおまかせしても安心です。自宅で食したい方には、丼メニューやまぐろの唐揚げなど、お持ち帰りメニューもたくさんあります。
ランチメニューです。店内切りたての中トロ、赤身、炙りトロを使った特選まぐろ丼、赤身を楽しむまぐろ丼、アボカドまぐろ丼、赤身とまぐろのたたきがゴージャスに乗せられたまぐろ2色丼など。サイドメニュー、ドリンク、デザートはそれぞれプラス料金ですが、単品だと千円で収まるリーズナブルさ。さらにすべてのメニューに日替わりスープがつきます。
ハラモステーキ。ハラモとは大トロの横にある部位で、まぐろの中で、もっとも脂がのっている部位です。スジが固いので刺身ではなく、火を通して食べるのがマストな食べ方。特製しょうゆベースのソースでいただきます。
この日の日替わりランチメニューはおろしソースで食べるまぐろのレアステーキでした。サイドメニューは、まぐろのから揚げやまぐろの手作りチーズのメンチなど。デザートも抹茶ロールケーキや黒蜜きな粉の白玉アイスなど、手の込んだメニューが並んでいます。
日替わりスープはセルフサービスで、好きなだけ自分でお代わりできるスタイルです。木製で統一された棚や台は、すっきりとまとまっていておしゃれですね。
野菜たっぷりの滋味深いスープをたっぷりと。
透き通った赤身には筋がなく、とても肉厚でうまみがあります。シンプルだからこそ素材の味と、調理のていねいさが伝わってきます。正直で誠実な味でした。添えられたたくさんの薬味もまぐろのふくよかさを引き立てています。
別アングル。「美味しいまぐろ」を具現化させたような色つや。こんなに鮮やかなまぐろってそういえば滅多にお目にかかりません。大葉やあさつきの濃い緑、わさびのきみどり、しょうがの淡い黄色、きざみ海苔の黒、散らされたごまのベージュ。シンプルな丼に見えて、じつに多彩ないろどりに溢れています。
ほどよく酢が効いた味わい深い酢飯の上に、ごろごろっと大降りに切られたまぐろとアボカド。サニーレタスにトマトといった野菜もたっぷり。まぐろの断面からも、ていねいなお仕事ぶりが伝わってきました。タレはやや甘めの味付けで、濃厚なまぐろとクリーミーなアボカドが、たっぷり野菜とよく合います。新鮮さが舌でわかる美味しさです。
トマトと一緒に映しても、まったく遜色がないほどに透き通って美しいまぐろです。
揚げたてをお持ちくださいました。メンチはサクサクの衣を噛むと、まぐろのうまみとチーズの濃厚さが口の中を占拠します。から揚げは、お肉そのもののような身の詰まった肉厚感があり、まぐろ特有のうまみが閉じ込められていました。美味しくて、不思議な味覚体験です。下味がしっかりついているので、ごはんがどんどん進みます。
オーダーしたものをテーブルに一挙に並べてみました。つかわれている主な素材は「まぐろ」なのに、このバリエーション。この華やかさ、鮮やかさ。1つの素材でここまでいろいろ作り出せるとは……!さすがは「まぐろビストロ」です。
まぐろ、と聞くと、正直お刺身とお寿司と丼、煮つけくらいしか思いつきませんでした。しかし「まぐろビストロ Wa-fu」さんでは、ハラモステーキやポキ丼、メンチカツ、から揚げ、グリーンカレー……と、本当にたくさんの料理に出合えました。
お料理をいただくと、シェフのまぐろ愛がたっぷり詰まった品々であることが伝わってきます。そして、どれも本当に”ていねいな味”なのです。丼にかけるタレにせよ、から揚げの下味にせよ、細部に至るまで新鮮なまぐろの味を高めるために研究され尽したのでしょう。さまざまに「仕掛け」が凝らされていて、食べると「ほお!」と、ひと口ごとに新しい驚きがありました。
まぐろは、すごくポテンシャルを秘めた奥深いお魚なのですね。そんな発見がありました。美味しいまぐろ料理の数々と居心地のいいやさしいお店の構えも相まって、何度でも通いたくなる愛おしいお店でした。