成田の「川豊」さんといえば、誰もが知る伝統と格式ある老舗のうなぎ料理の名店中の名店。
「川豊」さんと聞いて、あの絶妙な焼き加減のふわふわの身に伝家のタレをまとった黄金色のうなぎのかば焼きが乗っかったお重を思い浮かべた方も多いのではないでしょうか?
しかし「川豊西口館」さんの懐の深いところは名物のうなぎ料理のみに留まらず、上質なのにお値打ちな定食までもをご提供くださっているというところ。
こちらをご馳走になるべく、さっそくうかがってまいりました。
JR成田駅西口のほど近くにある「川豊西口館」さん。
本店さんとは違って近代的なしつらえの建物です。
大きな蘇鉄と大人の男性の背丈よりも大きな「営業中」の看板がひと際威容を誇っています。
涼しげな木陰です。
テーブル席です。
ほかにはお座敷席やくつろげる堀りごたつ席、フォーマルな場にぴったりの格式の高い典雅な個室、宴会にもご対応くださる大広間があります。
お座敷席から眺める店内。
機能的で気取らないのに老舗の格式をどことなく漂わせる、品のいいつくりです。
「川豊」さんが誇るうな重、う巻きやきも焼きなどのうなぎを使った料理、絶品の誉れ高い鯉こくなどが並びます。
成田駅に近い場所柄かリーズナブルな天丼や定食類、お刺身や天ぷらなどのお酒に合いそうな一品料理のメニューもとても充実しています。
「月替わりサービス定食」や色々な健康食材が使われた「ヘルシー膳」といったひと工夫凝らされたメニューも「川豊西口館」さんなればこそ。
月替わりのメニューです。その月にしか味わえない、その月が一番おいしいくなる旬の食材を、一流の調理技術でご提供くださいます。
ゴマ風味の「アボカドの湯葉よせ」や「いわしの梅しそ巻き天ぷら」など健康志向なメニューが目を引きます。
お昼のみ限定の「うな丼」もあるのも嬉しいところ。土用の丑の日やちょっと豪勢にうなぎでも…という特別な日やハレの日のみではなく、普通の日でも食べられるお値段と月替わりのメニューはとても魅力的です。これは月1といわず、3でも5でもで通いたくなりますよね!
月替わりサービス定食の、「なすの豚ロース巻きと新じゃが煮物」がテーブルにやってきました。
器からしてすでに美しく、「定食」なのに「会席料理」の趣です。
ふたを開けてみました。メインの「なすの豚ロース巻きと新じゃが煮物」のほかに、まぐろの刺身、蒸し物、品のいい吸い物、お新香、ふっくらと炊き上げられたご飯が並びます。
盛りつけも、いろどりも、すべてにおいて品があって美しいです。
メインの「なすの豚ロース巻きと新じゃが煮物」です。
ひと口食べてすぐにわかるきめ細かな肉質のいい豚ロースに包まれたなすがとろとろに煮込まれていて、あっさりしているのに恍惚となってしまうお味でした。
じゃがいものホコホコ度合いも素晴らしいです。
お新香と蒸し物です。
蒸し物はあっさりとした味付けの野菜たっぷりの茶わん蒸しでした。
(※公式HPのブログを遡って調べても添付のメモにも蒸し物?がなんであるかという表記がありませんでした。確認のほどどうぞよろしくお願い致します。)
お新香もいろどりがいい上によく味が染み、さくさくとした歯触りが絶品でした。
お吸い物です。散らされた三つ葉と湯葉がとてもいいアクセントになっています。
ふたを開けた瞬間に、品のいい香気がふわっと立ち昇ってきて食欲をそそられます。
脂がたっぷりと乗ったかつおのお刺身です。
身が引き締まっていて新鮮で、1切れ1切れが大きいです。
ねっとりとした濃厚な味わいの、選び抜かれた感のある洗練されたお刺身でした。
添えられた薬味がさらにお刺身の旨味を増してくれています。
「川豊西口館」さんは、うなぎ料理の老舗で大店である「川豊」さんで培われた技術と積み上げた伝統を守りつつもその名に寄りかかることなく、新しい側面を切り開いていらっしゃるお店でした。
看板メニューであるうなぎ料理に拘泥することなく、日常に寄り添った毎日でも食べたくなるメニューを模索し、確立されています。
参道沿いの本店さんが創業百余年の歴史と伝統を盤石に守り、成田の玄関口にある西口館さんが新しい風を常に吹き込んでいらっしゃる。
留まることを知らない新旧の両輪は「川豊」さんの名声をさらに高めて発展させてゆくに違いありません。