お経を書き写すだなんて難しいのでは?とか、わたしは習字が得意じゃないからちょっと…なんて心配される方もいるかもしれませんが、大丈夫。成田山新勝寺の写経は、初めての方でも安心して参加することができるのです。さっそくわたしも体験してきましたので、その様子をお伝えしたいと思います。
写経とは、お釈迦さまの御教えが書かれたお経を書き写すこと。
一文字一文字に仏さまをお迎えするよう、丁寧に書き写すことで心にやすらぎが訪れます。
もともとは印刷技術が発展していなかった時代に、仏さまの教えを伝え広めるために経典を書き写したのがはじまりだとされています。その後、尊い修行として、仏さまへ願いを伝える手段として、またご利益を頂戴するために…と、僧侶だけでなく一般の人々へも広まっていきました。近年ではリラックス効果や、集中力アップにもいい!とも言われているんですよ。
成田山の写経道場は、平和大塔にあります。
予約の必要はないので、案内板に従い大塔の中へ。まずは1階霊光殿で受付を済ませます。
「毎日写経会申込用紙」というものに住所・氏名などを記入しました。
成田山で修行することのできる写経は2種類。
・『般若心経』一巻278文字(所要時間60~120分、2000円)
・『御宝号』御宝号10文字(所要時間15分、1000円)
せっかくなので、わたしは『般若心経』にしてみました。
受付が済んだら、写経道場の入口で両手を浄めます。
右手で御香をひとつまみし、左手の薬指の根元へ。
指の根元へとすり込むように両手を合わせ、浄めます。
これを、「塗香(ずこう)」と言うのだそう。やり方は目の前で教えていただけますが、案内の冊子にも詳しく書かれていました。
「写経作法」
写経道場には、ライトのついた机と椅子がたくさん並べられています。
指定された席に着くと説明があり、案内の冊子をよく読むように言われました。
この通りに輪袈裟を首からかけ、道場中央に鎮座するお不動さまに向かって三礼します。
三礼(さんらい)とは頭を下げて礼をするのではなく、膝を軽く曲げて伸ばすことなのですね。いろいろな作法があって、勉強になりました。
そして、いよいよ写経開始です。
目の前に置かれた写経用紙には、うっすらと文字が印刷されていました。
これをなぞっていくのですね…。これなら間違うこともなく、初心者でも安心して取り組むことができます。
精神を統一して、一文字ずつ丁寧に仕上げていきます。難しい漢字も、なんのその(だって印刷されていますから…)。硯に入れた墨汁に筆の先をつけ、紙の文字をなぞる。墨の香りと筆の感触。なんだか懐かしくもあり、新鮮な気持ちにもなりました。近頃は仕事でもプライベートでも、こうやって文字を連ねることってほとんどなくなりましたからね。ひたすらタップとキーボードばかりで。
初めは緊張して手が震えそうでしたが…。紙の上に浮かび上がってくる自分の文字が、なんとまぁ美しく気持ちのいいこと。意識せずとも、胸の奥がスーッと軽くなり集中力が高まっていくのがわかりました。
『般若心経』278文字を書き写すのに、わたしがかかった時間はおよそ60分程度。体感時間は、あっという間。静かな空間で、無心になってお経を書き写すことで、何かものすごく心が洗われたような、リフレッシュした気分になりました。
書き終えた写経用紙は、お不動さまへとお納めします。
今回使用した筆は、持ち帰ることができました。また、わたしたちは写経体験が初めてでしたので、「写経カード」というものを頂きました。次回、これを持参することで「納経帖」が頂けるのだそうです。「納経帖」は、道場での写経を体験するごとに朱印が押してもらえます。
また今度、心がざわついた時や、忘れたいことがあった時、集中力を高めたいときには、写経にチャレンジしてみたいと思います。
成田山では毎日、写経を体験することができます。
予約の必要はありませんので、写経道場のある平和大塔へと向かいましょう。
午前8時~午後4時(受付は午後3時まで)
平和大塔1階霊光殿
『般若心経』一巻278文字(所要時間約60~120分)
「御宝号」御宝号10文字(所要時間約15分)
『般若心経』2000円
「御宝号」 1000円
成田山新勝寺 写経係 0476-22-2111
午前8時~午後4時(年中無休)
いかがでしたか、成田山の写経体験。
説明もあり、用紙には薄く文字も印刷されていますので、初めての方でも安心して修行体験をすることができます。日常の喧噪を忘れ、心やすらぐひと時を過ごしてみてはいかがでしょう。また、毎年6月には光輪閣で「成田山写経大会」が開催されています。写経にハマったら、ぜひこちらもチェックしてみてください。