辛味調味料のコチュジャンがたっぷりのプルコギやスンドゥブ、炎のように赤いキムチチゲやトッポギなど、辛いもの好きさんをあまねく虜にする韓国料理。
けれど、「食堂ユリ」さんの本格韓国料理は辛いもの好きではない方も、きっとお気に入りになるはず。なにせ、こちらでごちそうになる本格韓国料理には、辛さの中に確かな旨味があるからです。
寺台にある「食堂ユリ」さん。場所は、根木名川沿いに走る国道51号線からわき道に逸れたあたりです。お店の前と横側に駐車場があります。
店頭にかけられた墨書のハングル文字が、本格韓国料理屋さんの雰囲気を醸し出していますね。
立ち姿で、きびきびと働く女将さんやスタッフさんたち。とっても明るくて気さくな方々です。店内は、かなり広く、カウンター席の他にも座敷席とテーブル席があります。
「石焼ビビンバ」や「ユッケジャンラーメン」、「スンドゥブチゲ」、「サンゲタン」など韓国料理のメニューがぎっしり。韓国風のすき焼きといえる「プルコギチョン」や豚背骨肉とジャガイモが入った「カンジャタン」など、お鍋のメニューも充実しています。
アルコールのメニューには、もちろん「マッコリ」完備。「ナムル」や「チョレギサラダ」、「トッポッキ」は、絶対にお酒が進むやつだ…! 「じゃがいもチヂミ」や「キムチチーズチヂミ」など、いろんな味のチヂミも全制覇したくなります。
カクテキと韓国のりは、サービスで頂きました。手作りのカクテキは見るからにすごく辛そうですが、とっても美味しそうです。
お茶はペットボトルから。はじめはちょっと驚きますが、この光景も「食堂ユリ」さんの名物光景です。お好きなだけどんどんどうぞ、というサービス精神も嬉しいです。同時に、これから出合える料理は絶対に”辛ウマ”なんだろうなあという予感にわくわくします。
焼き色のきつね色とニラの鮮やかな緑が食欲をそそるチヂミです。
チヂミに添えられているのは、酢醤油。
ごま油をベースに、たくさんの旨味を感じる香辛料が絶妙なバランスでブレンドされた特製のタレでいただきます。
「食堂ユリ」さんのチヂミの食感はモチッとしているだけじゃなく、ふわふわでカリッとしています。もちろん出来立ての熱々です。
チヂミってもったりしたものだと思っていたのですが、こちらでいただいたチヂミのもちもちカリカリ食感は、すごく斬新でした。というか、これが本場韓国の味なのだそうです。チヂミへの概念が一新されました。”もちカリ”生地に練り込まれた紅ショウガと新鮮なニラの風味が絶品です。特製タレと本当によく合っています。人気メニューなのも心底納得です。
熱々に熱されたビビンバ鍋から聞こえるじゅうじゅうと弾むような音と、いい匂いが食欲をそそります。お味噌汁が付いてくるのも嬉しいところ。
ナムルの白、緑、オレンジ、茶色の4色と卵の黄身の色。視覚的にも鮮やかできれいです。黄身の上に散らされた胡麻もたっぷりの野菜と相まって、栄養と美容効果が高そうです。
テーブルに備え付けられたコチュジャンや豆板醤、テンメンジャンなどがたっぷり使われた特製のタレを好きなだけイン。全体にまろやかな黄身が絡むようによく混ぜます。シンプル素材を合わせた料理なのに、これだけ奥行きと広がりが感じられる味になるのは、お店で手作りしているナムルと特製タレの力でしょう。辛いけど、辛さ一辺倒じゃないんです。後を引くウマさが潜んでいます。ビビンバ石鍋の底にあるおこげがこれまた美味しい!
「食堂ユリ」さんの中を見回すと、和やかで打ち解けた雰囲気などからお客さんのほとんどが常連さんでした。味よし、接客よし、コスパもよしとくれば、なるほど、通わない理由などありません。出される料理は、すべて本格韓国料理の味なのに、「辛さ」をゴリゴリと前面に押し出したものではなく、必ず旨味を引き出す隠し味やひと工夫がなされていることがわかります。つまりパワープレイではなく技巧が光る料理なんです。
「食堂ユリ」さんでいただいた料理の重層的な味に、韓国料理ってこんなに奥深いんだ……と、何度もうなってしまいました。食べれば誰しもが笑顔になって虜になってしまう美味しい本格韓国料理。是非とも、ご馳走になりに行ってみてください。