成田山新勝寺の参道にはうなぎの名店が軒を連ねます。その様やまさに群雄割拠。その中でも、創業百余年の「川豊」さんは誰もが知るうなぎの名店です。香ばしくもふっくらと焼き上げられた鰻と創業以来継ぎ足して作られてきた秘伝のタレのハーモニー…。あの味を思い出すだけでうっとりとなる方は少なくはないでしょう。本日は、そんな絶品うなぎ料理と日本料理を味わうべく「川豊」さんの「別館」にお邪魔してきました。
数寄屋造りの邸宅のような造りの「川豊」の「別館」さん。洗練と落ち着きある趣がすでにエントランスからひしひしと伝わってきます。さながら迎賓館の風情です。広大な駐車場があるので車で来店する際はとても便利でありがたい。
超老舗の別館らしい品格と重厚さを兼ね揃えたエントランス。
店内のごく一部の風景です。お席はテーブル・カウンター席、小上がり、個室、特別室、大宴会場と実に豊富にあり、用途によって使い分けられるのが便利です。そしてお店全体が本当に美しいのです。
手入れの行き届いた広大な日本庭園があります。「別館」さんはなにもかもが洗練されつつも豪奢な印象です。フォーマルなお席にも向いています。
ソワソワしながら待つ間、こちらを発見。伝統と格式を重んじながらも、積み上げてきた老舗としての名声に胡坐をかくことなく、時流に乗り遅れることもなく、こういったサービスを提供くださるご姿勢に頭が下がります。
「川豊」さんといえばうなぎ。こちらのメニューにはうな重から白焼き、蒲焼、鰻巻玉子からうな茶漬けまでありとあらゆるうなぎ料理がずらーっと並んでいます。鯉洗いや鯉こくなどの川魚料理の一品料理もあります。
参道沿いにある本店さんとは違い、「別館」さんにはうなぎ料理のほかに川魚料理や趣向が凝らされた各種日本料理が充実しています。中でもこの「御膳」のメニューは刺身や天ぷら、小鉢などの本格的な日本料理がじっくりと味わうことができるんです。広いお店でゆったりとくつろぎながら「御膳」のぜいたくなお料理を堪能できるなんて僥倖過ぎます…!
値段によって選べる会席料理のコースやお持ち帰りのメニューもあります。
名物のうな重から刺身、天ぷら、肝吸い、小鉢、漬物にフルーツが一挙に味わえる、「別館」さんの粋を集めたような贅沢な「和ざんまい」。うん、こちらをお願いしよう。
待つこと約20分ほど(うなぎは焼き立てをご提供くださるのでこの待ち時間はまったくもって苦痛ではない)。「和ざんまい」御膳がやってきました。大きな鰻の蒲焼が乗ったお重、新鮮なお刺身、揚げたての天ぷらに小鉢にお新香、肝吸い…。うわー、大御馳走だ!!テーブルの上が、一気にきらっきらになった瞬間です。
この盛り付けの美しさにうっとりしてしまいます。修行を積んだ職人さんの熟練の技術による、誇り高い純然たる正統派日本料理です。お刺身の鮮度は言及するまでもなく透明な身には締まりがあり、天ぷらは揚げたてで軽やかな衣はサクサク、肝吸いはほどよい塩加減が絶妙で肝の出汁がとてもよく出ていました。一見シンプルで控えめな味付けの奥に、確かに深い味わいが無限に広がる格調の高い味のお料理の数々でありました。
炭火でこんがりふっくらと焼かれたうなぎの蒲焼です。匂いからしてすでにご馳走。箸を入れた途端容易く切れるほどふっくらとやわらかな脂の乗ったうなぎの身と、香ばしく焼かれた表面に塗られた「川豊」さんに百年継承されてきたやや甘めのタレがマッチングしています。ふんわりと炊かれたご飯との相性もまた絶妙。秘伝のタレはうなぎ本来の風味を引き出すためにあえて控えめにしてあるとのことなので、「もう少し欲しい」という方は申し出てくださいとのただし書きがありました。仲居さんは気立てのいい方ばかりなので、気持ちのいい態度ですぐにご対応くださいます。こういったところも、老舗ながらの行き届いた対応といった感じで素晴らしかったです。
「川豊」さんの「別館」では、うなぎ料理のみならず川魚料理や日本料理といった「うなぎの『川豊』」さんとは違った表情を堪能させてくださいます。気品と重厚さを兼ね揃えた壮麗な店舗や美しい日本庭園も魅力のひとつ。改まった席のみならず、豪勢な料本格日本料理と共にお酒を楽しみながらゆったり過ごしたい時などにこれからも何度も重宝させていただけそうです。